blackout

今日の合コンも収穫無しだった。そもそも5対5の合コンが成立するとは思えない。彼女彼氏がいない男女が10人もいたら会話が拡散して収集つかないじゃないか。かといって2対2も難しい。人数に関わらず全ての合コンには幹事というかセッティング役がいるわけで2人だともはやお見合いに近い。無理。

2年付き合った彼女と別れてから3年。それからずっと彼女がいない。セックスはえーと、少なくとも今年に入ってからしてない。性欲が無いわけじゃない。街でタイプの女を見かけたら抱きたいと思ったりもする。週末も仕事が入りがちだけど休みが無いわけでもない。予定が無い時は図書館で本を借りて近所のカフェで読みふけったり自宅の狭いキッチンで新しい料理に挑戦したり。先週は生地をこねてモッツァレラチーズとスイートバジルを乗せたピザを作った。改めて振り返ると寂しい人生送ってるな。

そういえば実家にピザ釜があるって子があの場にいたな。どんなピザ釜かは見てみたいな。でも連絡先を聞いてない。幹事に頼めばいいのだろうが今更感が漂うので出来ない。思い返してみると笑顔が可愛くて好印象な女の子だった。華奢なイメージだったのに意外と胸が大きかった。見たわけじゃない。飲んだ後に寄ったダーツバーの通路が狭くてトイレに行こうとした彼女の胸が肘に当っただけだ。

その感触を思い出しながらティッシュを手に取る。妄想の中で彼女の胸を揉む。実際を知らないくせに柔らかくて張りがある感触を思い浮かべる事が出来る。自分で自分が気持ち悪い。自己嫌悪が脳裏によぎった途端、感触がオッパイのそれからピザ生地のそれに変わってしまった。さすがにピザ生地では射精出来ないので諦める。

パンツを履き直そうとしてふと股間に目をやる。先っちょから何かが出てる。射精してないのに白い何かが。触れてみると白い糸のようなものだった。さっき握っている時は無かったのに一体いつ付いたのだろう、と白い糸を引っ張る。思ったより長いなと思った次の瞬間、白い糸がぴんと張り詰めプチンという音と共に切れた。

同時に僕の視界も真っ暗になった。