京太郎じゃない方の西村

「君よ憤怒の河を渉れ」などのバイオレンス小説や「世界新動物記」などの動物小説で多くのベストセラーを生んだ作家の西村寿行(にしむら・じゅこう、本名としゆき)さんが23日、肝不全のため東京都内で死去していたことが26日、分かった。76歳。

西村寿行が死んだ。ぶっちゃけ作家としては死んだも同然だ*1と思っていたのですが実際に亡くなられてしまうと寂しい。この人の小説はエロ描写が多いのでオナニー覚えたての中学生男子にオススメ。フランス書院文庫を買うのは出版社のエロ認知度とジャケットの露骨さでハードル高いけど西村寿行なら余裕だ。

ちなみに初めて読んだこの人の作品は白骨樹林 (徳間文庫)

正岡という男がいつものように仕事を終えて自宅に帰宅すると妻と子供が惨殺されていた。愛する者を奪われた正岡は復讐の為に犯人探しの旅に出る。ところが事件は単なる強盗の仕業ではなかった。警察はおろか自衛隊・CIA・KGBなど国家レベルでの殺し合いになっていたのだ。

なのに主人公は諦めないんですよ!たった独りで果敢に立ち向かって行くの!

ありえん。しかし妻子を愛する気持ちがそうさせるんだ!と納得しちゃう。俺は家族愛に弱いんだ。仕方ない。他にもありえない展開の連続なんだけど愛する者を奪われた男の気持ちに全力感情移入して応援しちゃうんだよね。それで寿行すげー!ってなって他の作品も読み漁った。でも何でも出来ちゃう超能力犬の話とかロクなの無かったw

わが魂、久遠(とわ)の闇に (徳間文庫)なんて妻子を食われちゃう話ですからね。飛行機が雪山に不時着して緊急避難が適用されるんだろうけど描写がヒドすぎる。変態ジジイが「ワシは局部が食いたいのぅ」とか言っちゃう。で実際そうする。ねーよ!あと襤褸の詩 (徳間文庫)ね。戦いの前に必ずセックス。まあ死んじゃうかもしれないからね。最後に濃厚なのって発想はわからなくもない。心中直前のセックスって凄まじいらしいし。でも戦いに勝っちゃって死なないからセックスしてばっか。格闘スキルが高く普段は男達を従えてる女でさえもセックスになると「ああっ!男根さまっ!」と叫ぶ。えー!あんだけ孤高の人を気取ってたのにー!無くはないけど思いっきり男の都合で描き過ぎ。てか男根さまて。何の魅力もない初老の元刑事に抱かれた途端この豹変っぷり。これはひどい。しまいには男もそのセリフを言う。美少年に抱かれる初老の元刑事。いや過ぎる。

それでも白骨樹林のような熱い想いを再び!と思って今日もまた寿行作品を探してしまうのであった。

*1:年号見ると白骨樹林以前にも変なの書いてるね。元からこんな感じだったか