読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

FINE DAYS

レビュー BOOK

FINE DAYS (祥伝社文庫)

FINE DAYS (祥伝社文庫)

■FINE DAYS:ちょwww全然FINEじゃないwwwwwと思うほど怖い話だった。要約しようとしてみるとそんなに怖くないんだけれど前半部分が何の気なしに進んで行くというか学園ラブコメテイストが無くもない感じでそこからの落差が怖さを引き立たせているのかもしれない。ケンカ最強かつ美人かつクールな安井の隠された闇の部分は童貞男の願望が妄想となって産み出した感もあるけれど人が生を感じられる瞬間は性でしかないのかもしれないと思う事が人生では度々あったりする。抱かれる事でしか生きている事を実感出来ないなんて女の子に出会ってみたいと思う男もいるだろうけど実際に出くわしたら大抵の男は思いっきり狼狽するか全力で食い物にするかの二択しかない。正解が無い二択問題を解けるはずもなく、かといって正解がない事に気づいたところで新たな正解が見つかるわけでもない。そして最も厄介なのはこの手の問題で諸悪の根源を突き止めようと真摯に向き合うとこの物語と同様に必ず死の影が忍び寄ってくる事なんだよね。つーか本多孝好を読むとレビューがいつもヨソイキになるな自分でキモイわ。あとFINEって色んな意味あるんだなあと改めて調べて思った。

■イエスタデイズ:余命少ない親父が家を出て行くぐらい自分を嫌ってる三男坊に最後のお願いをしてそれに息子が応じるというお話。タイムスリップとまでは行かないけれど時空が歪んで現在と過去を結びつける展開はすごく好き。タイムパラドックスに挑むような展開は頭が混乱するから嫌なんだけど好き。そして嫌いな人の良い一面を垣間見るってベタな展開もかなり好き。自分の人生が幸福かどうか?という問題は死ぬ寸前までわからないわけで問題の時点で間違っている。正しくは自分の人生が幸福だったかどうか?だ。そう考えると一生涯を描いた小説ならともかくほとんどの小説では人生の一部が切り取られているので登場人物が幸福だったかどうかなんて考えるだけ無駄のような気もする。でもまあ考えちゃうよね。死に際の人間がキッカケとなって進むストーリーだけあって登場人物に幸せそうな人が皆無です。唯一、画家を目指してる青年が彼女を描かない理由を問われて「描きたいんだけどコイツがどうしても描かせてくれないんだ」って肩をすくめるシーンはすごく幸せそうだなと思った。

■眠りのための暖かな場所:妹を殺した事でずっと苛まれている姉の話。自分からすると不可抗力にしか見えないのだけれどそこには当人にしかない感情があるのだろうなとは思う。途中からサイキックな展開になってちょっぴり萎えたのは世の中の不思議の99%は科学的に証明可能だって思ってるからなんだろうなあ。俺をこんな思考に染めた特命リサーチ200Xには男のロマンを汚されたという理由で告訴状を叩きつけたい気分です。

■シェード:恋愛においてアドバイスを聞く人と聞かない人が存在する。一方でアドバイスを絶対的な力で受け入れさせてくれる人もまた存在する。普段ほとんど他人の助言を受け入れない人*1の助言受容スタイルさえも変えさせてしまう人。これは何もその人の存在感だけで成立するわけではなく例えばこの物語に出てくる老婆のように通りすがり的な存在であってもタイミングによってはガチリとハマってしまったりする。人生における分岐点で必ず自分で選択してきたという人でも思い返すとこのような存在に後押しされているケースが多いんじゃないかと思う。

*1:こう書くと何でも拒絶する人を想像するだろうけど受け入れたような素振りを見せながら一切取り入れ無い人ってのが意外と多い。俺がまさにそれ。これについては別にもう少し何か書こうと前から思っているのだがなかなか