ヤバい経済学

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

面白かった。objectOさんありがとう!narukamiさんにどんな本か説明するのに「あのーほら、【送料無料】さおだけ屋はなぜ潰れないのか? [ 山田真哉 ]みたいなののアメリカ版」とか言ってしまったが面白さは全然違う。あれはタイトルだけ煽ってて中身スカスカだった。でも各章の見出しは似てるよね。だって合コンとかで「学校の先生と相撲の力士、どこがおんなじだー?」とか言われたら「えー、なになに教えてー!」って女子がわさわさ寄って来るっしょ。そうなの?そんな合コン出てみたい!全力で受け売りする。

7勝8敗の力士と8勝7敗の力士が対戦した場合の結果を統計で見るとこれ不正なんじゃね?バーターあるよね?が見えてきて面白い。日本の週刊誌の記者だってこのぐらい調べろよって話なのにあいつら憶測だけで記事書いてるんだよなあ。まあ正解わかってる場合ほど裏取るのがメンドイって気持ちはわかるけれども。ヤクの売人の殺される確率とか拳銃とプールの危険さ比較も面白かった。拳銃のある家とプールのある家だったら前者の方が死ぬ確率高いと思うよなあ。

犯罪現象と中絶合法化は悲しいけど俺も因果関係あると思う。虐待されて育った人間が正気を保つって困難でしょう。もちろん虐待された人間全てが犯罪者になるわけじゃなくてものすごい立ち直り方をする人だって必ずいるんだけどそれは当人の努力がすごかったというだけで確率としては少ないイメージ。だからまずは虐待の発生件数を減らす事が重要。そして既に成人した虐待経験者はギリギリのとこで頑張ってるだろうから周囲のケアが必要なんだろうと思っている。

あとは成績と家庭環境なんかの比較かな。本の読み聞かせは重要だと思ってるんで関係ないって断言されて衝撃を受けた。まあ躾や教育に王道なんて無いから「これやっとけば賢く立派な人間になるよ!」と言われたところで鵜呑みにしないわけでみんな試行錯誤でやってるんだろうなあとは思っているけれど。この辺は途中から「名前をよく考えてつける親ならば子供に対して色々としてあげるから成績も良くなる確率が高い」とかなんだかそりゃそうだろうけども!的な言い回しが多くなってた気はする。

一番面白かったのがギャンブル観だ。多くの経済学者がギャンブルは胴元が儲かる仕組みになっている時点で損だと敬遠しているがレヴィットは違う。彼に言わせるとギャンブルには不正など一部の人に有利な歪みが必ずあるはずでそこを利用すれば勝てるしその辺を研究するのが楽しいらしく面白い見方だと思った。

日本には門倉貴史がいるので、私は本書を読んでもそれほど驚きはしなかった。むしろfreakonomistとしては、Levittよりも門倉の方が私は上だと思う。本書に出てくるデータはほぼ全て他者からの提供だが、門倉氏の場合は、一次データを自分で蒐集するのも厭わない。目のつけどころのヤバさも、門倉氏の方が一枚上だ。

関連で日本にも門倉貴史さんというヤバい経済学者がいるようなので読んでみようと思った。って写真見たら知ってたや。なんかこう履歴書っぽい写真を公開してる人って何故か名前が覚えられないんだよなあ雑種路線さんとか。何でだろ。