- 作者: 真山仁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 文庫
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作者の真山仁さんは、小説を書く前に、徹底した取材を繰り返します。かつて中部読売新聞社の記者だった経験が、その取材力を鍛え上げました。
中部読売新聞社は、読売新聞社が東海地方に進出するために設立した新聞社でした。突然の新規参入に、東海地方の既存の新聞社は一斉に猛反発。中部読売新聞の記者は、県庁や市役所の記者クラブに加盟できないという"村八分"のような状況に置かれました。
その結果、記者クラブに入れない真山記者は、役所の発表を待つことなく、足で情報を集め、特ダネ記事を書き続けました。
これに困った各社の記者たちは、真山記者に対して、「われわれの目の届くところにいてほしい」と、事実上、記者クラブへの加盟を認める態度に出ざるをえなかったとか。
そんな取材力が、この本にも随所に生きています。あまり知られることのない地熱発電が、どんな仕組みになっているのか、日本で地熱発電がどうして発展してこなかったのか、この本で詳しく知ることができます。
そうだったのかー!!
真山仁の作品では現実にあった似たような話がよく出て来るので読んでいると「そういやあったなー」みたいな感覚になります。例えばハゲタカはこんな感じ→モデルとなった現実の出来事 ハゲタカ (小説) - Wikipedia
元新聞記者ってのはプロフィールに書いてあるからそれで知識が豊富なんだな、ぐらいにしか思ってなかったけど逆境を跳ね返すほどの取材力だったとは。
それでまた別の話を見つけたのでそっちも。
地熱学会:小説『マグマ』をめぐる真山仁さんとの対話
野田:
大学を出られて新聞記者をやっておられたと聞きました.
真山:
いまはもうそういう新聞社はなくなったんですけど,中部読売新聞という東海三県,愛知,岐阜, 三重をカバーする新聞社がありまして,その岐阜支局に3年足らずおりました.
3年って早いな!才能あったのになんで?と思ったら小説家になるために新聞記者になった人だった。
野田:
3年というとちょっと短いように思います.立ち入ったことですが,どうしてお辞めになったのか,それからその後はどういうことをされたのでしょうか.
真山:
たぶんこれをしゃべると明日の朝まで掛かりますんで,簡単に申し上げます.非常に新聞記者志望の方には僭越なんですけれど, 最初から小説家になりたくて,高校時代からどうしたら小説家になれるかというのをいろいろ自分なりに研究しましたが, 日本ではどうも新聞記者出身の人が非常に多い,もちろん文学の方はそのままでいいんですが, 私のようにミステリーとかエンターテインメントが好きな人間は,まず取材ができて分かりやすい言葉がちゃんと表現できて, 何よりネットワークをつくるには新聞記者が一番いいというただその一念だけで記者になったんです. 新聞社というのは,入ってみると頭を使うなとまず最初に言われまして,取材したことを書き,上から言われたことを書き, それがだんだん気持ちよくなってきました.頭を使わないで原稿を書いて,お前は優秀だと言われる世界もいいなと思ったんですが, 本来私は頭を使うために記者になったんで,これ以上会社にいると駄目な人間になるのではないかと勝手に思いまして,3年足らずで辞めました.
地熱発電をよく知らないって人は読むと面白いかもです。自分の知らないところで上層部が買収した地熱発電の会社を任せられた女性が主人公なので一緒に学んで行く事が出来てわかりやすい。あと10年もしたら脱原発ムードもだいぶ消沈してる気がしてならないので何かを変えるなら今だろうしねえ。
マグマが2006年でまだ読んでないベイジンが2008年、これまた読んでないコラプティオも発売こそ震災後だけど連載は震災前からだ。もっと乗っかった販促を展開しても良さそうなのにさすがに出来ないか。
- 作者: 真山仁
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中国の威信を賭けた北京五輪の開幕直前。開会式に中継される“運転開始”を控えた世界最大規模の原子力発電所では、日本人技術顧問の田嶋が、若き中国共産党幹部・〓(とう)に拘束されていた。このままでは未曾有の大惨事に繋がりかねない。最大の危機に田嶋はどう立ち向かうのか―。時代の激流と人間の生き様を描く著者の真髄が結実した大傑作。
- 作者: 真山仁
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「私には希望がある」―国民の圧倒的支持を受ける総理・宮藤隼人。「政治とは、約束」―宮藤を支える若き内閣調査官・白石望。「言葉とは、力」―巨大権力に食らいつく新聞記者・神林裕太。震災後の原子力政策をめぐって火花を散らす男たちが辿り着いた選択とは?『マグマ』で地熱発電に、『ベイジン』で原発メルトダウンに迫った真山仁が、この国の政治を問い直す。