特定支出控除を利用した場合の年収別還付金モデルケース
みんなだいすき還付金!のはなし。
目次
特定支出控除とは?
サラリーマンもスーツや書籍代、なんと交際費まで経費計上出来る!って制度ですが難易度が高すぎて利用者が少なくそれが今年から緩和されます。国税庁の情報はこれ。
どんな感じか説明してるのがこれ。
具体例で計算してみます。
年収600万円 特定支出控除の額 資格取得費30万円、勤務必要経費80万円とします。
(中略)
他に控除がないとするとこの方の所得税と住民税の合計税率は30%になりますので、8万円×30%=24,000円税金が安くなります。
サラリーパーソンのスーツ代の経費計上? 平成24年改正 税金全般 All About プロファイル
適用される為の高いハードル
要件が緩和されたとは言え相変わらずネックになるのは以下のこの部分。
なお、これらの五つの特定支出は、いずれも給与の支払者が証明したものに限られます。
No.1415 給与所得者の特定支出控除|所得税|国税庁
つまり税務署チェックの前に勤務先チェックが入ってテキトーな領収書は弾かれると。これがクリア出来ない人は話にならないので考えなくていいです。最初から無かった事にして心穏やかに過ごしましょう!
手間をかける価値はあるか?
勤務先に掛け合えばもしかしたら・・・って人が次に考えるべきは掛け合う価値があるかどうか?だと思うので計算サンプルをいくつか並べる。あ、その前に資格取得費がゼロで勤務必要経費(スーツや書籍代・交際費など)だけで還付金はあるか?話が必要か。その場合だと年収380万超の人は還付ナシなはず。下の表に入れた。
年収別還付金額
資格取得費と勤務必要経費は上記サンプルと同額110万(適用は95万)、年間95万経費計上出来た場合の話で住民税は一律10%で計算してます。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | 特定支出控除適用経費 | 控除額 | 所得税率 | 還付額 |
300万 | 108万 | 54万を超えた額 | 95万-54万=41万 | 5% | 41万×15%=6.15万 |
380万 | 130万 | 65万を超えた額 | 95万-65万=30万 | 10% | 30万×20%=6万 |
500万 | 154万 | 77万を超えた額 | 95万-77万=18万 | 10% | 18万×20%=3.6万 |
600万 | 174万 | 87万を超えた額 | 95万-87万=8万 | 20% | 8万×30%=2.4万 |
800万 | 200万 | 100万を超えた額 | 超えてない | 20% | 還付なし |
1200万 | 230万 | 115万を超えた額 | 超えてない | 33% | 還付なし |
95万使っても2.4万~6万ぐらいかあ。
緩和されてもやっぱりハードル高いかなあ。ここまで経費計上が可能な人ってあんまりいなさそう。勉強する人はたくさんいてもお金をここまでかけてるとなるとまだまだ限られてくるよねえ。
年収別還付金額(年収800万超)
95万ぽっちじゃ800万超の人は還付がないので資格取得費を60万にして合計125万使うケースにしました。またまたハードル上がるー。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | 特定支出控除適用経費 | 控除額 | 所得税率 | 還付額 |
800万 | 200万 | 100万を超えた額 | 125万-100万=25万 | 20% | 25万×30%=7.5万 |
1200万 | 230万 | 115万を超えた額 | 125万-115万=10万 | 33% | 10万×43%=4.3万 |
出回ってる計算サンプルは各種控除が考慮されていない
引用したAll Aboutの計算サンプルもそうなんだけどこれ給与所得控除しか加味されてない。実際には扶養控除とか色んな控除が入るので年収600万の人でも所得税率が20%にならない人もいる可能性がある。そうなると10%なのでさらに還付額は下がってしまうのでその辺は注意が必要。
例えば500万だと154万を引いたら346万なので「330万円を超え 695万円以下 20%」という税率になるんだけど基礎控除の38万を引いたらそれだけで330万を下回って「195万円を超え 330万円以下 10%」の税率になるはずです。だから500万は10%で計算しといたよ。
所得税の計算は調整額が入るから10%から20%に上がったところで税額自体が2倍になる事はないんだけど還付額は調整額がないんだよね。寄付金控除なんかは税率が高い人ほど還付額が大きくなったりするアレ。そのおかげで計算も所得税を出すよりはるかにカンタンなんだけど。