虚無
- 作者: 薬丸岳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/05/23
- メディア: 単行本
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天使のナイフを書いた薬丸岳さんの小説。前回同様今回も面白かった。ただ切ない。弱ってる時に読むと激しく疲弊します。キツかった。
メインは統合失調症の青年に娘を殺された夫婦の話。妻は一命を取り留めるが最愛の娘を失った上に加害者の罪は刑法39条によって問えないという二重のショック。いつしか夫婦関係も微妙となり別れという一つの終焉を迎える。しかし別れた妻からの突然の電話によって物語りは再び動き出す。なんと加害者とすれ違ったという。
このあらすじだけじゃ良さはまったくわからない。ネタバレになっちゃうから書けないのはわかるけどこれはもっと読まれて良い気がするなあ。終盤一気に動き出す展開に引き込まれました。特に刑法39条で過剰に守る事が精神病患者を抱える家族への重圧になっているとか書いてある手紙のくだりはかなり重要だと思った。