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みんな元気。

みんな元気。 (新潮文庫)

みんな元気。 (新潮文庫)

■みんな元気。:うわーなんだこの昨日見た夢をそのまま書きました的な小説は!と最初は苦痛で読むに耐えられませんでしたがワンクッション置いてから続きを読んだらなんだか続きが気になってしまってだけど最後まで収拾つかないまま終わってたらショックだよなあそれでも一応読むかーなんて読んでたら終わってた。みんなが普段見るありきたりな夢のように前後の繋がりがないまま話が飛躍したりするストーリーはあんまり好きじゃないというかむしろ嫌いな方なんだけれどファンタジーは嫌いじゃないしこれも途中からファンタジーっぽい要素があったりしてそんなに悪くない話。一つの家に自分は一人なんだけど家族が複数いてそれが選ぶ可能性のあった全ての未来っていう設定がすごく面白かった。彼氏Aと結婚した場合の子供がいて彼氏Bと結婚した場合の子供、彼氏Cと結婚した場合の子供も同じ家で暮らしてる。お互いは見えないしそれぞれに対する自分の受け答えもそれぞれにしか聞えないって設定なので一妻多夫制ってわけでもない。もちろん彼氏Aも彼氏Bも彼氏Cも旦那として存在するわけで夜は自分視点だけとはいえ3Pになってたりしてな。んで最終的に一人に絞らなきゃなんだけどそのくだりも面白い!みんな選択時にはツライ想いをするもんなあ!この段落の為だけで前半を我慢する価値が充分ある。

■Dead for Good:これまた前後の繋がりなく飛躍したりするんだけれど主人公がバイト仲間に誘われるがままに部屋まで遊びに行ったらそいつが極度にサディスティックで眠剤盛られて電流を流されて頭がおかしくなったという設定なのでそれほど気にならなかった。いきなりすごい話から始まるのでおいおいこれどう収拾つけんのさと気になったが気が付くとやはり終わってた。落としどころなんてなさそうだけど尻切れとんぼっぽい感。

■我が家のトトロ:なかなか良いお話だけど脳外科医にいきなりなろうと決心して会社を辞めたくせにいつまで経っても医学部に合格しない父親が主人公なのでアウト。

■矢を止める五羽の梔鳥:焚き火は好きだけど山火事には萌えないのでアウト。

スクールアタック・シンドローム:ソファから離れられなくなった引きこもりみたいな30歳の父親と自分の学校を襲って600人殺した高校生に憧れる15歳の息子のお話。母親業も難しいけど父親業も難しいよなあと改めて思った。業っていうと仕事っぽいけど役って言い方はもっと嫌だし業も役も付けないって選択肢もあるけどそれもどうかなあって感じでだけど他に言い方がないのでこのまま。息子を逮捕しに刑事がやって来てちょっとした三者面談的な状態になるんだけどその途中で刑事も息子も父親の発言待ちみたいになる。そこで父親が「え?と俺は戸惑う。(中略)ナニナニ何か今俺に期待してない?何?やめてほしい。俺なんか難も期待できない男なのだ。まだ病気なのだ」って思っちゃうくだりが良かった。息子の理想となりたい気持ちって父親には少なからずあると思うんだけれどこういう発想があれば変な父親理想像に自分を無理矢理はめ込むことはなくてうまくいく・・・とは言い切れないけれど取り返しのつかないような破綻にはならないだろうなとも思った。